株式投資において、一番顕著に心理学的動向が見られるのは、株の購入前と購入後、すなわちポジション確立前とその直後かもしれません。
株式投資では、空売りを行わない限りは、株を買って初めて取引に参加できます。
つまり、買う前はどの銘柄がどんな動きをしようと、ある意味他人事です。
人間、他人事に対して基本冷静に物事を見つめられます。
心理学的にも、安定している状態といえるでしょう。
それは、例えとてもお買い得な銘柄を見つけた場合でもそうです。
焦ったり興奮したりはしますが、まだこの時点では根っこの部分では冷静なのです。
しかし、一端何らかの銘柄を購入し、ポジションを確立させると、状況は一変します。
まず冷静でいられなくなります。
それは、例え株価が急落しようと、急上昇しようと、同じ事です。
普通ならここで売るだろうというタイミングでも、まだ上がるだろうという楽観的な判断を下します。
普通ならここで売らないだろうというタイミングでも、ここから下がるかもという悲観的な判断を下します。
普通ならここで売らないとまずいというタイミングでも、きっと元に戻るだろうという希望的観測を下します。
根っこの部分が冷静でなくなると、株式投資においてどういった状況になっても、判断力が鈍ります。
これは心理学上、致し方ないところです。
こういった、他人事と自分の事との境界というのは、綺麗事では動かしようがありません。
しっかりと認め、その上で慣れていくというのが、唯一の対抗手段です。
株購入前と購入後の心理変化