集団心理を扱う心理学における基本的な方向性は、まず従順といっても過言ではないでしょう。
日本人は特にこの傾向が強く、長いものに巻かれる、右へならえ、などのように、人の振りを見て自分の振りを決める性質が強いといえます。
そういった民族的な心理学的見地から見ても、集団心理によって決定する株式投資の株価というものは、非常に動きが見えやすいといえます。
心理学では様々な実験が行われていますが、この従順を最もよく表している実験があります。
それは、選択問題です。
そして、これを特に顕著に表しているテレビ番組があります。
「クイズミリオネア」です。
この番組は、A、B、C、Dの4つの中から答えを選択するという方式でゲームが進んでいきます。
そして特徴として、3つのライフラインと呼ばれるお助け的なコンテンツがあります。
その中に「オーディエンス」というものがあります。
これは、観客席にいる人たちにその問題の回答をキーパッドで答えてもらい、その統計を取り、回答者の参考にする、というものです。
観客席には100人いますから、100票が四つの選択肢に割り当てられるという事になります。
この「オーディエンス」が、非常に良く集団心理を表しています。
というのも、この統計を取る前に、トークで回答者が「Aじゃないか」「Aのような気がする」といった後でオーディエンスを使うと、ほとんどの確率でAが高くなるのです。
それは、Aが不正解の場合でも同じ傾向となります。
なぜこうなるのかというと、観客の皆さんが回答者の発言に従順しているからなのです。
株式投資でも同じことが言えます。
株式取引において、ひとつのきっかけでいきなり株価が大きく動く事がありますが、これは最初のリアクションに対し、多くの投資家が従順するからです。
そしてその動きが大きくなるほど、より多くの投資家が「そうしなければならない」という圧力を感じ、従順する。
これが、集団心理の原理です。
集団心理の原理